保健医療サービス分野
バイタルサイン
体温
<測定方法>
腋窩検温法
少なくとも5~10分は体温計を入れておく、約10分後に示度を読む。
体温計の他端は、体軸に45度の角度で足の方を向くようにする。
口腔検温法
口腔では、腋窩に比べて短時間で効果的な測定ができる。
約5分後に示度を読む。
直腸検温法
最も正確な体温が得られる。
約3分後に示度を読む。
<基準値に異常値>
体温には、日内変動(夕方高く、早朝に最も低い)がある。
高体温は、一般的に37℃以上をいい、低体温は、34℃以下をいう。
高齢者では、発熱の原因がよくわからず、それを「不明熱」と呼ぶことがある。
栄養失調や中枢性の疾患、甲状腺機能低下では、低体温となることが多い。
体温が30℃いかになると死亡する例が多くなる。
一般的に発熱時は入浴を避ける。
血圧
血圧とは、血液が血管壁に及ぼす圧力の大きさ(動脈血圧)である。
血圧は、心臓収縮期に最大となり(最高血圧)、心臓拡張期に最小となる(最低血圧)。
高齢者では、収縮期血圧が高くなる。
高血圧は、そのほとんどが本態性高血圧症である。
収縮期血圧140mmhg以上、あるいは拡張期血圧90mmhg以上を、高血圧と定義する。
血圧測定は、一般に上腕動脈が使われる。
脈拍
脈拍は、左心室の収縮に伴って上下する動脈血圧のために動脈に生じる拍動。
通常は、橈骨動脈で脈をとることが多く、1分間の脈拍を数える。
1分間の脈拍数が60以下の場合を徐脈、100以上を頻脈という。
頻脈:100回/分以上・・・脱水、発熱、炎症
徐脈:60回/分未満・・・心疾患、脳血管障害、甲状腺機能低下症、低栄養
不整脈・・・脈拍リズムが乱れる。
結滞・・・脈拍がひとつ飛んでしまう(リズムが乱れた次は、正常リズム)
検査値
検査値の意義
一般に60歳を超えると80%以上の人は何らかの異常値を持っている。
最近は、正常値より基準値が使用されることが多い。
検査各論
<身長>
身長の短縮は、脊椎の圧迫骨折、円背などにより認められ、女性で顕著である。
<体重>
月1回程度は、体重測定を行う。
急激な体重減少は、悪性新生物、糖尿病の悪化、脱水症でみられる。
体重増加は、肥満症や浮腫性疾患(心不全、ネフローゼ、肝不全)でみられる。
<総蛋白>
総蛋白は、アルブミンとグロブリンからなり、血漿中で最も多い化学成分である。
高齢者の正常加減は、6.0g/㎗。
低蛋白血症・・・低栄養、呼吸障害、蛋白の漏出、蛋白の合成障害、水分貯留等。
高蛋白血症・・・脱水、多発性骨髄腫、感染症、自己免疫性疾患等。
<アルブミン>
高齢者の栄養評価に最もよい指標。
加齢によりアルブミンは肝臓での合成が低下し、その血清中の濃度も低下する。
2.5g/㎗以下になると浮腫をきたす。
<血清脂質>
血清コレステロール、中性脂肪は加齢とともに上昇するが、60歳~69歳をピークとして、その後はやや下降する傾向を示す。
中性脂肪は、食事による変動が大きく、食後に上昇する。
HDLコレステロール低値は、虚血性心疾患の危険因子の一つである。
高コレステロール血症は、高血圧やとうにゅお病と並んで、動脈硬化の危険因子である。
<血糖>
空腹時血糖には、加齢による変化が少ない。
空腹時血糖、75g経口糖負荷試験、HbA1c等により、糖尿病の診断を行う。
いずれの年齢においても、男性より女性が約10mg/㎗の高値を示す。
<肝機能>
血清GOTは、慢性肝炎、肝硬変、心筋梗塞では上昇するが、加齢による変動はない。
血清GPTは、肝疾患の診断、経過観察に有用で、加齢による変動はない。
ALPは、各臓器での生成亢進を反映し、女性では加齢による変動が認められるが、男性では、加齢による大きな変動はない。
γ-GTPが上昇するときは、脂肪肝やアルコール性肝炎などを疑う。加齢による変動があり、男性が女性が高いことが多い。
<腎機能>
BUN(尿素窒素)は、腎機能の低下時、消化管出血時、脱水などで上昇する。
クレアチニン(Cr)の上昇は、腎機能低下を反映する。
<電解質>
脱水症・熱中症などで、水・電解質代謝異常をきたしやすい。
腎機能低下時や脱水症やホルモン以上や薬剤により、異常値をきたす。
Na(ナトリウム)は、加齢に伴って上昇、ないし上昇傾向を示す。
K(カリウム)も、若年者に呉べて、加齢とともに増加する傾向がある。
Cℓ(塩素)は、一般成人の基準値を適用してよい。
<その他の生化学検査>
CRPは、炎症を反映し、感染症や膠原病、悪性腫瘍の可能性を反映する検査。
LDHは、男女とも30歳ころより徐々に軽度上昇する。
クレアチノキナーゼ(CK)は、心筋や骨格筋などの細胞のエネルギー代謝に重要でCK-MBは、心筋梗塞の診断に有用。
<血液学検査>
高齢者では、赤血球、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値のいずれも低下し、その傾向は加齢とともに著しい。
白血球数は、炎症や白血病などで増加し、再生不良性貧血や薬剤などで骨髄が抑制された場合に低下する。
高齢男性では、加齢に伴い血小板数の減少傾向が認められることが多い。
血沈は、高齢者で亢進傾向であり、血症蛋白組成の変化、貧血などが原因と考えられる。
<胸部レントゲン検査>
呼吸器疾患、心臓疾患の有無が判断できる。
肺炎、肺気腫、肺結核、肺がん、心疾患の診断に有用。
施設では、1年に1回程度の定期的な胸部レントゲン検査が必要。
<心電図>
不整脈や狭心症、心筋梗塞などの循環器系疾患の診断に有用。
不整脈を詳しく調べるために、24時間心電図を測定するホルダー心電図が利用される。
<呼吸器機能検査>
高齢者は、一般に呼吸器機能が低下する。
加齢により、肺活量が1秒率が減少し、残気量が増加する。
喫煙は、1秒率を低下させる。
バイタルサインと検査値 過去問まとめ
この一発合格ノートは、私が勉強した時のものを要約したものを掲載しています。2008年の10月のケアマネ試験に一発合格するために作ったものです。従って、法改正などで内容が変更になっている部分もあると思いますので、各自の責任で参考にしてみてください。
血清アルブミン値は低下する。そのため浮腫を来しやすくなる。
血清アルブミン値は、高齢者の栄養状態の指標となる。
経口糖負荷試験の血糖値は、より高くなりやすい。
ヘモグロビンA1cは、測定日以前1か月から2か月間の平均値な血糖状態を反映する。
GOTの加齢に伴う変化は、ほとんどない。
γ-GTO値は、アルコール性肝炎、脂肪肝で上昇する。
血清クレアチニン値は、腎機能低下で上昇する。
血小板数は、高齢者でもあまり変化しない。
不整脈を詳しく調べるために24時間心電図が測定される。
呼吸機能検査では、高齢になると肺活量が低下し、1秒率も低下し、残気量は増加する。
“ケアマネ試験2019年 一発合格ノート「バイタルサインと検査値とは?」” への6件の返信