この記事を読むと分かること
本科目は事例形式であり、4領域(人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケア)の知識・技術を横断的・総合的に問う科目である。
本科目は例年、65歳以上・65歳未満の利用者が各2人出題されており、この傾向は今回の国家試験でも同様であった。利用者の個別性を理解したうえで多様なニーズに応え、適切な支援が実践できるための介護福祉士の実践力が問われている。
介護福祉士「総合問題-過去問」第31回(2018年度)
1事例目
「脳出血後遺症のため左半身に不全麻痺がある男性、78歳」の事例。
病院退院後の在宅生活検討のための会議に関する知識、利用者の自立を支援するための手すりの設置場所に関する知識、皮膚疾患(白癬)で生じる症状を踏まえた介護の留意点が問われた。
2事例目
「レビー小体型認知症の診断を受けた女性、84歳」の事例。
レビー小体型認知症の症状および移動支援の視点、介護保険法に基づくサービス内容に関する知識が問われた。
3事例目
「うつ病の診断を受けた、両下肢麻痺がある一人暮らしの女性、26歳」の事例。
うつ病で生じる睡眠障害に関する知識、うつ病の症状を踏まえた専門職としてのかかわり方、うつ病やストレス関連疾患による休職者に対する職場復帰に向けたリハビリテーションに関する知識が問われた。
4事例目
「重度の脳性麻痺があり施設で暮らす男性、15歳」の事例。
障害児の施設入所おける根拠法、児童発達支援計画作成を担う専門職に関する知識、てんかん発作が起きた場合の対応が問われた。
介護福祉士「総合問題-過去問」第30回(2017年度)
1事例目
「脳出血後遺症があり自宅で生活する女性、72歳」の事例。
脳血管疾患で生じる症状に関する知識、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準に関する知識、倒れている利用者を発見した際の対応が問われた。
2事例目
「夫から虐待を受けているアルツハイマー型認知症の女性、87歳」の事例。
認知症で生じる症状に関する知識、虐待による措置対応で施設入所となった場合の根拠法、認知症利用者への専門職としての排泄支援の視点が問われた。
3事例目
「頸髄損傷により麻痺がある男性、64歳」の事例。
頸髄損傷により生じやすい症状および対応に関する知識、頸髄損傷による感覚障害に関する知識、障害者総合支援法に基づく移動支援サービス内容に関する理解が問われた。
4事例目
「交通事故により両大腿切断術を受けた男性、21歳」の事例。
障害年金に関する知識、障害者が自身で自家用車を運転するにあたっての経済的負担軽減に関する制度、両大腿切断で生じる症状に関する知識が問われた。
介護福祉士「総合問題-過去問」第29回(2016年度)
1事例目
「脳梗塞後遺症があり自宅で生活する男性、80歳」の事例。
感染症(MRSA)の保菌者への対応、失禁に関する知識、介護保険法に基づく高齢者福祉サービス内容の理解が問われた。
2事例目
「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で暮らすアルツハイマー型認知症の男性、88歳」の事例。
痛みを訴える認知症利用者への適切な対応、帯状疱疹に関する知識、興奮状態がみられる認知症利用者への専門職としてのかかわり方が問われた。
3事例目
「頸髄損傷により四肢麻痺がある男性、25歳」の事例。
頸髄損傷に関する知識、起立性低血圧が起きた際の対応、障害者総合支援法に基づく外出支援サービス内容の理解が問われた。
4事例目
「ダウン症で知的障害がある男性、19歳」の事例。
知的障害の起因疾患に関する知識、障害者総合支援法に基づく日中活動サービス内容の理解、知的障害がある利用者への専門職としてのかかわり方が問われた。
介護福祉士「総合問題-過去問」第28回(2015年度)
1事例目
「脳梗塞後遺症があり障害者支援施設で生活する男性、56歳」の事例。
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの内容の理解、高次脳機能障害の特性の理解、利用者の尊厳を護る介護者の姿勢が問われた。
2事例目
「不随意運動型(アテトーゼ型)脳性麻痺のある男児、7歳」の事例。
筋緊張で体幹や上肢の不随意運動が大きくなるという身体状況に適応する車いすの機能・特徴の理解、H24年4月より再編された「障害児通所支援」「障害児入所支援」の各支援内容の理解、障害と発達とを支援する「相談支援専門員」の姿勢が問われた。
3事例目
「仕事を持つ息子と暮らすアルツハイマー型認知症の女性、71歳」の事例。
新オレンジプランにも掲げられている「認知症カフェ」の理解、認知症の利用者および家族への専門職としてのかかわり方が問われた。
4事例目
「介護老人福祉施設に生活する2型糖尿病の女性、70歳」の事例。
感染症への対応、2型糖尿病に関する知識、抑うつ状態の利用者への適切な応答が問われた。
総じて、今後ますます多様化するニーズに対応できる介護福祉士の専門性の確立と実践力、日々の研鑚が求められていることを自覚したい。
介護福祉士「総合問題-過去問」第27回(2014年度)
1事例目
「妻とともに在宅で暮らすアルツハイマー型認知症の男性、75歳」の事例。
2事例目
「グループホームに生活するレビー小体型認知症で徘徊のある女性、80歳」の事例。
1・2事例ともに、認知症に関する正しい知識を持ち、併せて「認知症施策推進5カ年戦略(オレンジプラン)」を含めた、国の認知症施策の動向を理解していれば、難解な設問ではなかった。
3事例目
「事故で全盲となった中途障害の男性、46歳」の事例。
障害受容への支援、障害に対応する適切なコミュニケーション、盲導犬に関する知識などが問われた。この回答についてもそれほど多くの時間を要さなかったと思われる。
4事例目
「統合失調症のある男性、45歳」の事例。
その症状や利用できるサービスに関する設問であった。利用できるサービスについては、障害者総合支援法における自立支援給付と地域生活支援事業の具体的な内容理解が求められた。
総じて、設問の約7割は利用者への対応や家族への助言について問われており、介護福祉士には高い実践力が求められていることを自覚したい。
まとめ
「脳出血後遺症のため左半身に不全麻痺がある男性、78歳」の事例。
「レビー小体型認知症の診断を受けた女性、84歳」の事例。
「うつ病の診断を受けた、両下肢麻痺がある一人暮らしの女性、26歳」の事例。
「重度の脳性麻痺があり施設で暮らす男性、15歳」の事例。
「脳出血後遺症があり自宅で生活する女性、72歳」の事例。
「夫から虐待を受けているアルツハイマー型認知症の女性、87歳」の事例。
「頸髄損傷により麻痺がある男性、64歳」の事例。
「交通事故により両大腿切断術を受けた男性、21歳」の事例。
「脳梗塞後遺症があり自宅で生活する男性、80歳」の事例。
「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で暮らすアルツハイマー型認知症の男性、88歳」の事例。
「頸髄損傷により四肢麻痺がある男性、25歳」の事例。
「ダウン症で知的障害がある男性、19歳」の事例。
「脳梗塞後遺症があり障害者支援施設で生活する男性、56歳」の事例。
「不随意運動型(アテトーゼ型)脳性麻痺のある男児、7歳」の事例。
「仕事を持つ息子と暮らすアルツハイマー型認知症の女性、71歳」の事例。
「介護老人福祉施設に生活する2型糖尿病の女性、70歳」の事例。
「妻とともに在宅で暮らすアルツハイマー型認知症の男性、75歳」の事例。
「グループホームに生活するレビー小体型認知症で徘徊のある女性、80歳」の事例。
「事故で全盲となった中途障害の男性、46歳」の事例。
「統合失調症のある男性、45歳」の事例。
引用:https://fukushi.akamaru.jp/exam/ana_kaigo/gogo.html