ケアマネ試験対策2022-介護保険法制定の経緯と2020年法改正の内容

第25回ケアマネ試験(2022年10月)

概要

(1)介護保険法の制定までの経緯について
(2)過去の介護保険法改正内容について
(3)2020年の介護保険法改正内容
(4)過去問題の出題傾向について
(5)ケアマネ試験におすすめのテキストについて

(1)介護保険法の制定までの経緯について

介護保険法は、1997年12月施行の法律です

介護保険法は、今では高齢者を支える重要な法律として認識されています

介護保険法が制定される以前の法律が2つあります

①老人福祉法は、1963年の法律

②老人保健法は、1982年の法律

日本の高齢化問題は、1980年代には、すでに社会問題の一つとなっていました

それに対応するために、この2つの法律が作られました

①老人福祉法

老人福祉法で定められたものとして、現在もあるものとして、特別養護老人ホーム・ホームヘルパー・デイサービスなどがあります

介護保険制度ができる前から、こういった施設やサービスは存在していました

しかし、この老人福祉法において施設やサービスを利用するには様々な問題がありました

老人福祉法の問題点

・サービスを自由に決められない
・サービスの質が良くない
・利用の負担が大きいです

サービスを自由に決められないについては、老人福祉サービスは市町村が申請者に対して、サービスの種類やサービス提供期間を決定していました

そのため、申請をした利用者は自分に必要だと思うサービスを選択することができない状況でした

サービスの質が良くないについては、老人福祉サービスは市町村が直営または委託してサービス運営を行っていました

そのため、限られた施設やサービスしかないため競争原理が働かず、サービスが向上しないという問題がありました

利用の負担が大きいについては、老人福祉サービスを利用する際の費用は、本人と扶養義務者の収入に応じた応能負担でした

そのため、中高所得層の負担が大きくなってしまい、金銭面でサービスを利用しづらいという問題もありました

②老人保健法

老人保健法で定められたものとして、現在もあるものとして、老人保健施設・訪問看護・デイケアなどがあります

しかし、この老人保健法においても施設やサービスを利用するのには様々な問題がありました

老人保健法の問題点

・社会的入院の増加
・介護体制が不十分

社会的入院とは、入院の必要性が低いにも関わらず長期入院を続けている状態のことを言います

1973年に老人医療費支給制度が開始となり、老人医療費が無償化になるということがスタートしました

これにより介護ニーズがある人であっても、老人福祉サービスは応能負担で負担が大きいため、医療費がかからない入院を選択する人が増加し、老人医療が機能しなかったことがあります

介護体制が不十分については、病院はあくまで治療が目的の施設になります

当然、医師や看護師などの医療スタッフはいましたが、介護職員は少ない状態でした

社会的入院も重なり、長期療養が必要な人に対して、まともな介護を行う環境が整っていませんでした

老人福祉法・老人保健法という2つの法律により支えられてきましたが、これらの問題点を解決する為に2000年に介護保険制度がスタートしました

老人福祉法・老人保健法と介護保険制度の違い

老人福祉法・老人保健法介護保険制度
サービスの選択行政窓口で申請し、市町村がサービスを決定利用者が自らサービスの種類や事業者を選択し契約
費用負担世帯の所得・所得階層に応じた利用負担を求める応能負担サービス利用額の原則1割の応益負担
サービス利用医療福祉のサービスを別々に申し込む介護サービスの利用計画を作成し、医療・福祉のサービスを総合的に利用できる
提供機関市町村や公的な団体中心のサービスの提供民間企業・農協・生協・NPOなど多様な事業者によるサービス提供が可能

①サービスの選択について

老人福祉法・老人保健法は行政窓口で申請し、市町村がサービスを決定していました

それに対し、介護保険制度は利用者が自らサービスの種類や事業者を選択し契約できるという風に変わりました

②費用負担について

老人福祉法・老人保健法は、世帯の所得・所得階層に応じた利用負担を求める応能負担でした

それに対し介護保険制度は、サービス利用額の原則1割の応益負担という風に変わりました

こちらに関しては、所得段階に応じて2割・3割という負担もあります

③サービス利用について

老人福祉法・老人保健法は、サービスを利用する際は医療福祉のサービスを別々に申し込む必要がありました

それに対し介護保険制度は、介護サービスの利用計画を作成し、医療・福祉のサービスを総合的に利用できる制度に変わりました

④提供機関について

老人福祉法・老人保健法は、市町村や公的な団体中心のサービスの提供となっていましたが、介護保険制度になってからは民間企業・農協・生協・NPOなど多様な事業者によるサービス提供が可能となっています

このように利用しやすい制度に生まれ変わったことを理解しておきましょう

3年を1期として法改正

介護保険制度が始まって20年以上経ちますが、この20年だけでも様々な状況が大きく変化しています

様々な変化に対応できるよう介護保険法は、3年を1期として法改正が実施されています

近年の法改正では、高齢者人口の増加・若年者人口の減少などによる人口構造の変化を背景に介護保険制度にとって支え手である若年者の負担減少が、喫緊の課題とされています

そのため近年の法改正では、制度の持続性の確保・費用負担の公平かなどの内容が増えてきています

(2)過去の介護保険改正内容

3年を1期とした介護保険法の改正内容は、以下の通りになります

第1期1997年公布
2000年施行
介護保険制度の開始
第2期2005年改正
2006施行
予防重視型サービスへの転換施設・施設給付の見直しなど
第3期2008年改正
2009年施行
医療と介護の連携の強化・介護人材の確保とサービスの質の向上・高齢者の住まいの整備・認知症対策の推進・市町村保険者による主体的な取り組みの推進など
第4期2011年改正
2012年施行
地域包括ケアの推進・介護療養病床の廃止期限を延長など
第5期2014年改正
2015年施行
地域支援事業の拡充・地域ケア会議の設置義務化・自己負担引き上げ・2割負担導入補足給付の見直し・特別養護老人ホームへの新規入居者要介護3以上に限定など
第6期2017年改正
2018年施行
自立支援介護の強化に向けた財政制度の創設・共生型サービスの創設・自己負担引き上げ3割負担導入など
第7期2020年改正
2021年施行
地域住民の複雑化、複合化したニーズに対する包括支援体制の構築・認知症政策、介護サービス提供体制の強化・医療介護出た基盤の強化・介護人材確保と業務効率化支援・社会福祉連携推進法人の制度の創設など
第8期2023年改正
2024年施行
介護保険料の支払い年齢の引き下げ・居宅介護支援の自己負担導入など

第1期は1997年公布 2000年施行の介護保険制度の開始になります

第2期は2005年改正 2006施行の予防重視型サービスへの転換施設・施設給付の見直しなどがあります

第3期は2008年改正 2009年施行の医療と介護の連携の強化・介護人材の確保とサービスの質の向上・高齢者の住まいの整備・認知症対策の推進・市町村保険者による主体的な取り組みの推進などがありました

第4期は2011年改正 2012年施行の地域包括ケアの推進・介護療養病床の廃止期限を延長などがありました

第5期は2014年改正 2015年施行の地域支援事業の拡充・地域ケア会議の設置義務化・自己負担引き上げ・2割負担導入補足給付の見直し・特別養護老人ホームへの新規入居者要介護3以上に限定などがありました

第6期は2017年改正 2018年施行の自立支援介護の強化に向けた財政制度の創設・共生型サービスの創設・自己負担引き上げ3割負担導入などがありました

第7期は2020年改正 2021年施行の地域住民の複雑化、複合化したニーズに対する包括支援体制の構築・認知症政策、介護サービス提供体制の強化・医療介護出た基盤の強化・介護人材確保と業務効率化支援・社会福祉連携推進法人の制度の創設などがありました

そして第8期は2023年改正 2024年施行が予定されています

内容としては、介護保険料の支払い年齢の引き下げ・居宅介護支援の自己負担導入などが検討されています

(3)2020年法改正内容について

2020年の法改正は、介護保険法だけではなく老人福祉法や社会福祉法などの改正と合わせて実施されています

2020年介護保険法改正①

地域住民の複雑化・複合化したニーズに対する包括支援体制の構築です

少子高齢化や社会構造の変化に伴い地域住民が抱えている課題は、これまでよりも複雑化複合化してきています

例えば8050問題・Wケア・ヤングケアラー・孤独死・生活困窮ごみ屋敷などになります

このような問題は、高齢者だけの問題ではなく中高年や若年者にも関連する問題が増えてきています

しかし、既存の仕組みでは高齢者子ども生活困窮などの相談窓口は、それぞれ異なっています

そのため、うまく相談支援に繋がらないケースが多かったのです

今後は年齢や属性別に分けるのではなく一体的な相談支援が行えるようになります

新たな事業の全体像

①相談支援
属性や世代を問わない相談支援を多職種共同で実施していきます

②参加支援
社会参加のための支援としての就労支援や見守り付き居住支援の実施を行っていきます

③地域支援
属性や世代を超えた住民同士が交流できる場や居場所の確保を実施していきます

今後は①から③を通じて継続的な伴走支援を実施していくとしています

2020年介護保険法改正②

認知症施策や介護サービス提供体制の強化です

2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築を目指していますが団塊の世代の高齢化問題が起きるとされる2040年は。今以上に介護サービス重要の増加や多様化が見込まれています

そのために認知症政策と介護サービス提供体制の強化が急務となっています

認知症施策については、令和元年に策定された「認知症政策推進大綱」をもとに実施されます

具体的には、国地方公共団体の努力義務として、認知症支援体制や調査研究・地域との共生を追加、介護保険事業計画に他分野との連携や認知症政策の推進に関する事項を追加とあります

介護サービス提供体制について

各保険者ごとに高齢者人口や介護サービスのニーズを中長期的に見据えて、介護保険事業計画に盛り込むこととされています

具体的には、市町村の人口構造の変化の見通しを介護保険事業計画に盛り込んで作成する・有料老人ホームサ高住の設置状況を介護保険事業計画に追加とあります

このように保険者である市町村の取り組みがより重要になっていくことが分かります

2020年介護保険法改正③

医療介護データ基盤の強化です

これまでの医療と介護の連携は、データ面においても不十分だったと言われています

これまで医療介護のデータは別物として処理されていた経緯があります

しかし、令和元年5月に医療と介護のレセプト情報を連結しデータ解析が行えるようになりました

このレセプト情報は、医療・介護保険の報酬を公的機関に請求するために提出するデータになります

今後、厚生労働大臣は医療・介護で他の解析によって状況把握や調査分析のための基盤整備を行ない、必要に応じてその結果を公表するよう努めることとされました

介護分野においては、従来のデーターベースとしてVISIT(訪問・通所リハビリテーション情報)、CHASE(高齢者の状態やケアに関する情報)が存在していましたが、これらを統合しLIFEという新しいデーターベースになりました

この情報をもとに、介護に関する様々な調査・分析が行われることになります

医療・介護のデータ連結に関しても、正確な情報連結の為に医療介護の資格確認をオンラインで行えるように整備していくことになります

2020年介護保険法改正④

介護人材確保と業務効率化支援です

介護分野の人材不足はとても深刻な状況です

令和2年の介護関係職種の有効求人倍率は、3.99倍となっており全職種の1.08倍に比べて4倍近い人材不足の状況となっています

2025年以降は、現役世代の減少が顕著になるため高齢者介護を支える人材確保が急務とされています

そのために保険者である市町村やそれを支援する都道府県が連携し、介護人材の確保や業務効率化の取り組みが求められています

市町村と都道府県の介護保険事業計画作成に当たっては、介護人材の確保と資質向上、また業務効率化や質の向上に関する事項を追加、有料老人ホームの設置にかかる届出の簡素化などが挙げられています

また、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けにかかる経過措置の延長も決まっています

平成29年4月から介護福祉士になるためには、養成施設を卒業後、国家試験に合格することが必須となりました

しかし、養成施設を卒業して国家試験に合格できなかったとしても、5年間は介護福祉士を名乗られる経過措置が設けられました

その経過措置期間が令和8年度末に卒業する人まで延長されることになりました

2020年介護保険法改正⑤

社会福祉連携推進法人制度の創設です

①でも触れた通り、地域住民のニーズは複雑化複合化してきており、包括的な支援が必要とされています

その中で中心的役割を担うのが「社会福祉法人」です

しかし社会福祉法人によっては、経営基盤の悪化により事業運営が困難になっている法人もあります

そういった法人に対して、社会福祉協議会や他の社会福祉法人との緩やかな連携や合併・事業譲渡を図ることができるように制度化したのが、今回の「社会福祉連携推進法人制度」になります

つまり、いくつかの社会福祉法人で共同運営ができるようになる制度になります

社会福祉連携推進法人で行える代表的な内容としては、共生社会の実現に向けたサービス種別を超えた連携の推進・災害対応にかかる連携体制の整備・社会福祉事業の経営に関する支援・社会福祉法人の社員への資金貸付・福祉人材への対応・人材加工育成・設備物資の共同購入などになります

今後は社会福祉連携推進法人が増加していると思われているので、動向にも注目していきましょう

(4)過去問題の出題傾向について

過去5年間のケアマネ試験で介護保険法の改正に関する問題は、ほぼ毎年1問出題されています

出題される数は少ないですが、出題される確率が高い分野になります

2021年(第24回試験)問題1 2020年介護保険法改正内容 

2020年(第23回試験)問題5 2017年介護保険法改正内容

2019年(第22回試験)問題1 2017年介護保険法改正内容

2017年(第20回試験)問題3 2014年介護保険法改正内容

このように過去5年間においては、介護支援分野の序盤に出題されている傾向があります

法改正の直後の試験では直近の法改正の内容に関する問題が出題されています

法改正直後の試験では、改正内容について理解しておく必要があります

(5)ケアマネ試験におすすめのテキストについて

①『九訂 介護支援専門員基本テキスト』

このテキストの発行は令和3年6月で上下巻合わせて1320ページあります

上巻は介護保険サービス介護保険制度ケアマネジメント、下巻は高齢者保健医療福祉の基礎知識の2巻構成となっています

ケアマネ試験の出題範囲を完璧に網羅しているテキストになります

特徴としては、QRコードが各項目についており、該当科目の過去問題を確認することができます

最新の介護保険法改正にも対応しています

②『2022年版 ケアマネジャー速習レッスン』

このテキストの発行は令和3年12月で全464ページあります

『第九訂 介護支援専門員基本テキスト』に対応したユーキャン発行のテキストになります

特徴としては、基本テキストに比べて図表やイラストが多く理解しやすい内容になっています

過去5年間で出題されたテーマにはマークがされており、特に気を付けたいポイントなども分かりやすく示してあります

基本テキストよりも分かりやすく、こちらも頼りになるテキストになります

2冊ともとても分かりやすいテキストとして評判が高いです

今年必ず合格したいと考えている方の助けになるので是非購入を検討してみてください

2020年介護保険法内容まとめ

・地域住民の複雑化・複合化したニーズに対する包括支援体制の構築
・認知症施策や介護サービス提供体制の強化
・医療介護データ基盤の強化
・介護人材確保と業務効率化支援
・社会福祉連携推進法人制度の創設

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