認知症を取り巻く状況(過去問=試験対策)

認知症ケアの歴史

○明治の始めに設置された癲狂院(てんきょういん)、その後の精神病院が主に認知症の人に対する処遇を行うことになった。

○1963年に老人福祉法が制定され養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームなど老人福祉施設が体系化され老人福祉施策の基本枠組みが形成された。

○1980年に京都市で「ぼけ老人をかかえる家族の会(現在・認知症の人と家族の会)が発足した。

○1984年から「痴呆性老人処遇技術研修事業」がスタートし、すべての特別養護老人ホームにおいて寮母を対象とした処遇技術研修が行われるようになった。

○1987年、出雲市のことぶき園で日本ではじめての認知症グループホームが誕生した。

○近年、認知症グループホームや宅老所等の小規模化したケアの有効性を取り入れたユニットケアという考え方が大型施設に取り入られるようになった。

○2000年の介護保険法改正では、身体拘束については、緊急及びやむを得ない場合は条件付きで認められることになった。

○2004年12月から、現在の「認知症」という言葉が行政用語として統一されるようになった。

認知症ケアの理念

○パーソンセンタードケアとは、疾病あるいは症状を対象にしたアプローチではなく、生活する個人を対象とするケアである。

○パーソンセンタードケアの理念は、認知症になってもその人らしくいきいきと生活できるように個別のケアをすることである。

○認知症ケアの理念とは、その人らしくあり続けるための援助である。また、その人らしい生き方とは、何よりも人間らしい生き方である。

○認知症の人とコミュニケーションをとるときに大切なことは、本人が考え思っている「現実」を否定するのではなく、それを認めて共感的に受け入れることである。

○国による認知症対策として「認知症対策等総合支援事業」がある。

○国は平成17年度の「認知症を知る一年」を足がかりに、認知症に関する理解を高めるために「認知症サポーター100万人キャラバン」による学習会を展開している。

○認知症サポーターは、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、認知症の人を支援する。

○認知症人の安心・安全をサポートする制度のひとつに成年後見制度がある。

○社会福祉法による日常生活自立支援事業は、都道府県社会福祉協議会の事業で、福祉サービスお利用手続きや生活費の管理が難しい人に対して手続きや金銭管理の手伝いをおこなうものである。

○高齢者虐待防止法は高齢者等の虐待防止だけでなく、養護者に対する支援も盛り込まれている。なお虐待防止法では虐待を発見した住民の市町村への通報義務や、市町村の立ち入り調査権などが認められた。

○認知症の人に対する地域密着型サービスには、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護がある。

○小規模多機能型居宅介護は、通所介護を中心に利用しながら、必要に応じてショートステイや訪問介護を受けることができるサービスである。

○小規模多機能型居宅介護では、ケアマネージャー・看護師及び準看護師の配置が必要である。

○小規模多機能型居宅介護の事業は、25人以下の登録制となっている。

○介護保険法における認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、家庭的な雰囲気によって、症状の安定が図られる。

認知症高齢者の現状と今後

○認知症患者は2025年に700万人を突破。65歳以上の5人に1人と予想されている。

○介護保険では、人数の割合に対して費用の割合が高いが、これは認知症の利用者一人当たりの利用額が高いことが理由となっている。

○寝たきりの認知症の人のサービス利用は、半数以上が施設の利用者となっている。

○動ける認知症の人は、施設利用者が2割未満、8割以上が在宅サービスの利用者となっている。

認知症を取り巻く状況の勉強メモ

日本における認知症施策の変遷

2000年:介護保険法施行

それまで日本の高齢者介護は家庭内で解決するものとされてきたが、介護の役割を主に担うと一方的に考えられていた女性の社会進出が進んだことや、多世代居住の減少により介護の担い手が不足したことから、「介護の社会化」が叫ばれるようになった。同時にこれまでの「措置制度」であった高齢者福祉から、高齢者も主体的な権利を持つ「契約者」としてみなされるようになり、自立と共にその権利擁護も重視されるようになった。

2004年:「痴呆症」から「認知症」へ呼称変更

「認知症」へ呼称変更することが決定した。検討会では、呼称変更を機に、認知症に対する正しい理解の促進や権利擁護など周知を図ることを目指した。

2008年:「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」報告書

具体的な対応項目
①実態の把握
②研究開発の加速
③早期診断の推進と適切な医療の提供
④適切なケアの普及及び本人・家族支援
⑤若年性認知症対策

2012年:「今後の認知症施策の方向性について」

それまでの施設入所や入院を仕方のないものとして捉える方向性から、「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」を目指すべく、「自宅→グループホーム→施設あるいは一般病院・ 精神科病院」というような不適切なケアの流れを変え、むしろ逆の流れとする標準的な「認知症ケアパス」(状態に応じた適切なサービス提供の流れ)を構築することを基本目標とした。またそうした施策の推進に向けた調査研究の充実を図ることも明記された。

2012年:「認知症施策推進五ヵ年計画」(オレンジプラン)

オレンジプランは、以下の7本柱で構成された。
標準的な認知症ケアパスの作成・普及
①早期診断・早期対応
②地域での生活を支える医療サービスの構築
③地域での生活を支える介護サービスの構築
④地域での日常生活・家族の支援の強化
⑤若年性認知症施策の強化
⑥医療・介護サービスを担う人材の育成

2013年:G8認知症サミット

2013年12月にイギリスで初めて「G8認知症サミット」が開催された。同会議では「認知症研究については新しい国際的なアプローチ、たとえば一国の取り組みではなく、各国共通の目的として研究を加速すること」が合意された。

2014年:認知症サミット日本後継イベント

「G8認知症サミット」を受け、「新しいケアと予防のモデル」をテーマとし、2014年11月に東京にて「認知症サミット日本後継イベント」が開催された。「①早期診断・早期対応とともに、医療・介護サービスが有機的に連携し、認知症の容態に応じて切れ目なく提供できる循環型のシステムを構築すること、②認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて、省庁横断的な総合的な戦略とすること、③認知症の方ご本人やそのご家族の視点に立った施策を推進すること」の3つを柱とした新たな戦略の策定が発表された。

2015年:「認知症施策推進総合戦略認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)

2015年1月には「新オレンジプラン」が発表された。新オレンジプランは、認知症の人やその家族をはじめとした様々な関係者から幅広く意見を聞き、認知症の人やその家族の視点に立って立案された。2025年までが対象期間だが、3年ごとに数値目標等を見直すこととしている。また策定において、厚生労働省のみならず、内閣官房、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省と共同で作成された点が、これまでのプランと大きく異なる。

認知症ケアの理念

パーソン・センタード・ケア

パーソン・センタード・ケアとは、認知症をもつ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとする認知症ケアの一つの考え方。
自然科学や神学を修めた後に老年心理学教授となったトムキットウッドが、1980年代末の英国で提唱。
認知症の方の持っている「心理的ニーズ」を理解する上で「一人の人間として無条件に尊重されること」を中心にし、「共にあること」「くつろぎ」「自分らしさ」「結びつき」「たずさわること」という6つのことが重要であると考えた。

2025年 高齢者5人に1人が認知症の時代へ

認知症サポーター

認知症サポーターとは、認知症に関する正しい知識と理解をもち、地域や職域で、認知症の人や家族に対してできる範囲で手助けをする人のこと。
1.認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない
2.認知症の人や家族を温かい目で見守ることができる
3.近くの認知症の人や家族に、自分ができる簡単なことを実践できる
4.地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる
5.全ての人が住みやすいまちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する

認知症高齢者の現状と今後

・2025年には65歳以上の認知症患者数が約700万人に増加
・健康寿命が延びているが、平均寿命に比べて延びが小さい
・介護を受けたい場所は「自宅」が男性約4割、女性3割、最期を迎えたい場所は「自宅」が半数を超える

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